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とくしま木育 もくもく日誌⑦

~木とふれあい、木に学び、木と生きる~


徳島県で木育に取り組んでいる人を紹介するコーナーです。

『徳島県立阿波十郎兵衛屋敷』館長 佐藤憲治さん



豊かさに支えられた大衆文化


 時にしなやかに、時にダイナミックに。3人の遣い手が息を合わせることで、人間以上に人間らしく演じて見せてくれる人形浄瑠璃。古くから伝えられてきたこの伝統芸能は、徳島という土地の豊かさを表している、そう佐藤館長は話す。「鳴門の塩、吉野川沿いの藍、そして県南の木材。これらは江戸時代から阿波の三大産物として知られてきました。地域の風土や歴史、産業とともに発展したのが阿波の人形浄瑠璃です。人形浄瑠璃と聞くと今の皆さんは高尚な芸術だと感じて身構えてしまいますが、農村舞台が数多く残っていることからも分かるように、森の中にある劇場で木の人形に命を宿し、地域の人々に大きな楽しみを提供する、そんな親しみやすいものでした」。そういった楽しみに木を用いることができたのは、豊かな森林資源というバックグラウンドがあればこそだという。



浄瑠璃を通じて徳島に新しい文化を


 県内の学校で部活動や授業の一環として人形浄瑠璃が取り入れられていることや、若い後継者たちが腕前を披露する発表会などが開催されていることで、伝統が引き継がれていけばと期待を寄せる佐藤館長。「人形浄瑠璃だけをクロースアップするのではなく、徳島の豊かさを認識してもらう入口の一つとして、人形浄瑠璃が役立つことができればと思っています。30年前にドブ川としてみんなが目を背けていた新町川が、たった一人の空き缶拾いが共感を呼んで次第に綺麗になり、今はみんなが新町川のほうを見て生活するようになりました。同じように、徳島の人が日常的に木に触れることで、木のある生活が当たり前になり、徳島を誇りに感じるようになる。そうやって人々の考え方が変わっていくことで形成されるのが、“文化”だと思っています。単発のイベントで一時的に県外から人を集めることは簡単かもしれませんが、年間を通じて人を呼び込める魅力作りは、地元の文化を作ることから始まるのではないでしょうか」。



人形をつくる人形師は、桐や檜の木を彫って顔をつくり、内部に、目や口の開閉など役柄に応じたからくりを仕込む。徳島には今も約30人の人形師が活躍しているが、後継者の確保が課題である。精巧な3Dデータをつくり、人形師の技術を保存するとともに、3Dプリンターで出力した頭を触ったり、組み立ててもらったり、人形浄瑠璃の普及に活用している。


『十郎兵衛屋敷』で開催されている定期公演。一体の人形を3人がかりで操る3人遣いの人形は世界的にも珍しく、繊細で丁寧な表現が可能。


徳島県内の神社の境内には、人形浄瑠璃を神様に奉納するための野外劇場「農村舞台」が今でも約80棟残っており、その内の12~13箇所でも今も人形浄瑠璃の公演が行われている。




DATA

徳島県立阿波十郎兵衛屋敷

tel.088-665-2202

徳島県徳島市川内町宮島本浦184

営/9:30~17:00(7/1~8/31は~18:00)

休/12/31~1/3

HPは「阿波十郎兵衛屋敷」で検索

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